[ゲーム翻訳は選択肢ではなく必須事項です。]

Common Sense Advisoryは、全世界のインターネットユーザーが使用する言語に関する統計調査を行っています。その結果によれば、2020年以降、ある一つのコンテンツを全世界のオンラインユーザーの90%以上が完璧に理解して楽しめるようにするには、少なくとも48以上の言語にローカライズする必要があります。

世界1位のOTTサービス企業Netflixは、2010年からオリジナルコンテンツを製作すると同時に完璧なローカライズを行い、33以上の言語をサポートすることで言語の垣根を越えたサービスを提供しています。グローバル企業であるNetflixはローカライズの重要性を認識しており、北米の企業でありながらアジアなど非英語圏の国々でも1位の占有率を誇っています。その強力な競合企業であるDisney+とAmazonプライム・ビデオは、Netflixの成功例を参照し、ローカライズ専門部署を自社で持ち、コンテンツとUIのローカライズに力を入れつつあります。

未来のコンテンツ消費市場の覇権を握るには、ローカライズは避けては通れない要素となるはずです。しかし、コンテンツの翻訳は多くの企業にとって今なお費用面で大きな負担となっています。

ゲームローカライズ、LQAテスト、顧客特化型のQAサービスといったのグローバルゲームサービスを高品質で提供しているローカライズ専門企業Latis Globalが、ゲームの翻訳費用を抑えるためのノウハウを紹介いたします。

1. 重複するテキストをチェック!

翻訳作業では、通常、テキスト数に応じた費用を請求することになります。つまり、テキストをできるだけ減らすことが肝要です。テキストを減らす最も効果的な方法の一つは、重複するテキストを見つけ出すことです。

設計と開発の過程で固定テキストと流動的なテキストを上手く使い分ければ、固定テキストの重複による翻訳費用を節減することができます。例えば、ゲーム内でクエストを進める際、目的地までの距離や道順を教えるメッセージでは、以下のような固定的・流動的なテキストが使われます。

「監視塔まではあと50mです。頑張ってください!」

「村の西側にある灯台に手紙を届けてください!」

コードファイルでは「監視塔まではあと%%mです。頑張ってください!」というふうに表示されます。これらを洗い出すことで、ローカライズ作業時に翻訳すべきテキストの量を減らし、翻訳費用を節約することができます。

もちろん、専門翻訳会社では翻訳ツール(CAT Tool)を用いて重複するテキストを検討し、翻訳をしています。

2. テキストの一貫性を保つ

原文に忠実に訳すことはあらゆる翻訳作業の大前提ですが、ゲーム翻訳においては、同じ意味を持つ原文がいくつも存在する場合、翻訳量が増大することになります。例:

「警備兵が城へ向かった」

「警備兵が城に近付いている」

「警備兵が城へ向かっています」

専門翻訳会社は翻訳ツールを用いてテキストの類似度を計算し、意味の近いテキストの検討をゲーム会社と行った後、翻訳作業に取り掛かります。原文に一貫性を持たせるプロセスを経ることで、ゲーム会社にとっての不必要な費用支出を最小化できます。従って、情報を詳細かつオープンに提供する翻訳会社を選ぶことが望まれます。

3. ローカライズの計画は早めに

翻訳するテキストの量のみならず、翻訳に費やす時間も翻訳費用に大きく影響します。ゲームの企画と開発の段階でローカライズを念頭に置き、ローカライズの専門家によるコンサルティングを早い段階で導入すれば、翻訳にかかる時間と費用全般を抑えることができます。

ゲーム内テキストの翻訳文は、言語によって約30%まで長さが増減することがあります。翻訳する言語を事前に決めておくことで、表示可能な文字数に関わるUIのデザインを検討したり、翻訳を考慮した視点で原文を調整できます。

事前に検討せずに翻訳に取り掛かった場合、文字が見切れたり、UIエラーやその他の技術的な問題が発生する可能性があります。

また、ゲーマーの好みは言語圏によって異なり、流行っているゲームの傾向やジャンル、法的な規制も異なるため、事前にローカライズを行う言語とターゲットとする市場を想定しておくことが望まれます。ターゲット市場が決まれば法的・文化的な要素を検討し、市場の特性に合わせてコンテンツをローカライズすることが可能となり、ゲームが成功する可能性も高まります。

ゲームの翻訳費用を節減する方法をいくつかご紹介しました。テキストの重複や一貫性をチェックし、事前に表示可能な文字数を検討する必要性について述べましたが、最も大事なことは、翻訳費用に関する情報をオープンにし、適切なローカライズを行う専門翻訳会社を選ぶことです。