What you need to know when translating your game into Chinese

世界で最も広く使われている言語は英語ですが、母語として最も多く使われている言語は中国語と言われています。中国語は中国以外の20カ国でも一部の人々が母語として使用しており、母語でなくても中国語を使用している人口は、少なくとも15億人を超えると言われています。

中国語使用者のうち標準中国語(Mandarin)を使用している人口は約11億2千万人で、主に中国・台湾・マレーシア・シンガポールなどに分布しています。広東語(YueまたはCantonese)は主に香港やマカオ、近隣の中国地域で使用されており、さらにインドネシアなどアジア地域でもよく使われている、中国語の中でも使用者が二番目に多い(約9千万人)言語となっています。他にも様々な方言が存在しており、使用者もまたアジアに限らず、アメリカなど世界各地に存在しています。

このように多くの人々が使用する言語のため、中国語はビジネスだけでなく、様々な分野でその重要性が日に日に高まっているため、中国語圏市場を攻略するための翻訳は必須とも言えるでしょう。そして、中国語翻訳の前に簡体字と繁体字の違いを把握することは、基本的かつ重要なポイントになります。

簡体字と繁体字の主な違い

1. 総文字数の違い

一般的に繁体字は約20,000個の文字で構成されている一方、簡体字は約7,000個の文字で構成されています。簡体字の場合、利便性のため多くの文字が削除や結合、または置き換えられており、繁体字と比べて使用される文字数が全体的に減少しています。例えば、簡体字圏では意味と発音が同じ「够」と「夠」の中で「够」のみを標準表記とし、「夠」は使われなくなりました。簡体字や繁体字での漢字の標準表記が異なる場合も多数存在しますが、実際に多く使われている漢字の数は大差ありません。

2. 文字の形の違い

ほとんどの繁体字の文字は昔の形を保っていますが、簡体字の場合は1950年代以降、表記方法に大きな変化がありました。当初、両者の違いは筆画の種類のみでしたが、近代に入り英語の発音に似た現代語が作られたり、中国大陸・香港・台湾の間の政治的、物理的な距離によってイギリス英語とアメリカ英語のように、スタイルや語彙にも違いが生まれています。

例えば、簡体字圏では弁当を「盒饭」、香港では繁体字である「飯盒」、台湾では日本語の影響でその音訳である「便當」と表記しています。また、繁体字圏である台湾では「台湾」を「台灣」と表記していますが、「台」の繁体字である「臺」を使わず簡体字で表記するなど、簡体字と繁体字を混用する場合も一部存在しています。

3. 地理的な違い

簡体字は中国大陸のほとんどの地域で、繁体字は台湾や香港、マカオなどで使われています。中国大陸とシンガポールでは口語としてマンダリンを、文語としては簡体字(zh-CN)を使用しています。また、香港では広東語を主な口語として使用しており、繁体字(zh-TW)を文語として使用しています。例外として台湾では、台湾特有の標準語である台湾国語(Taiwanese Mandarin)を口語に、繁体字を文語に使用しています。主な中国語圏市場で使われている口語と文語をまとめると、以下の通りとなります。

簡体字と繁体字、選択の理由

簡体字と繁体字の違いをよく知らない人は、両者の違いが漢字の画数だけだと思い込み、簡体字をそのまま繁体字に変換すれば十分だと考える場合が多々あります。しかし、漢字だけでなく語彙や表現、文化的な違いも存在するため、そのまま変換してしまうとローカライズされていない印象を繁体字圏のプレイヤーに与えかねません。そのため、一部補完し合うところはあっても、根本的な翻訳は簡体字と繁体字、それぞれ別領域として選択する必要があります。

ターゲットとなる顧客の地理的な場所やニーズ、利便性を考慮して簡体字や繁体字を選ぶことが重要です。潜在顧客が中国大陸にいる場合は簡体字に、香港や台湾にいる場合は繁体字に翻訳しましょう。

ゲーム市場での中国語

中国のゲーム市場は世界でも大きな割合を占めており、世界ゲーム収益の5分の1以上を生み出しています。このような市場での競争力を備えるには、単に意味が通じるだけの翻訳ではなく、現地のニーズに合った翻訳が求められます。例えば、多くの意味が含まれていて簡潔に表現できる四字熟語に翻訳したり、有名な古文を引用するのも一つの方法です。また、的確なダジャレもクオリティアップに有効でしょう。

簡体字や繁体字に翻訳するのもこのような競争力の一つです。物理的な場所に囚われず、より多くの中国語圏の潜在顧客にアピールできるため、幅広い市場への進出は長期的な売上や知名度の向上に繋がるでしょう。また、各文化圏のニーズに合わせて簡体字や繁体字に翻訳することで、プレイヤーへのリスペクトや配慮を感じさせることができ、プレイヤーもまたさらなる没入感と共にゲームを楽しむことが可能です。

ゲームの本質を保ちながらも市場ごとの言語や文化の違いを考慮し、簡体字や繁体字に翻訳できれば、各市場のプレイヤーに最高の体験を提供できるようになり、結果的にゲーム開発会社の売上向上にも大いに貢献するでしょう。