サービス事例:P社のMOBAゲームQA裏話

今回の案件はインドネシアのクライアントがパブリッシャーを担当したプロジェクトであり、アプリのジャンルはMOBAでした。機能QAやFunQAを依頼してくださり、韓国ではなく東南アジアがターゲットだったため、事前準備が必要な状況でした。

1] 事前準備と言えば、何が必要でしょうか。

まずはLatis Globalのマニラ支社とのコミュニケーションが必要でした。単純に機能だけをチェックするプロジェクトだったら韓国本社のメンバーだけでチームを組んで進めることができますが、FunQAを含めるグローバルサービスだったので東南アジアのテスターたちに参加してもらう必要がありました。そのため、両方にクライアントのアプリをセットし、テスターたちがジャンルを十分理解しているのか、そして東南アジアの類似したジャンルで人気の高いゲームは何があるのかを調べることにしました。

2] FunQAが含まれていてマニラでのセッティングが必要だったと言いましたが、その理由は何でしょうか。そしてMOBAジャンルへの理解が必要だったというところをもう少し詳しく説明してください。

若干重複する内容があるかもしれませんが、FunQAというのは結局、楽しめる要素を分析するサービスです。「楽しさ」が果たして数値化できるデータなのかが難しいところですが、そのためにマニラのセッティングが必要だったんです。韓国とはメージャーなモバイル機種も違い、ゲームプレイ時間やゲームをプレイする時に求められる要素、課金への反発心理などを綿密に観察するにはマニラのテスターたちによる緻密な観察や分析が必要でした。そのような分析を基に作られた単純データ(プレイ記録)を獲得し、その単純データをもう一度分析してレポートを作成したのです。

前述した「楽しさ」という要素を数値化する最も普遍妥当な方法が比較分析ですが、そのために必要なのはジャンルへの理解です。映画のジャンルが監督と観客の一種の約束であることと同じく、ゲームのジャンルもユーザーとゲーム会社の間の約束です。つまり、類似したジャンルのゲームにはある種の共通点があり、その共通点が同じようなプレイスタイル・成長モデル・課金モデルなどに繋がります。それで類似したジャンルのゲームを同時にプレイしながらゲームごとの類似性や違いを分析する必要があったのです。

3] ジャンルの説明が長いようですが、MOBAジャンルならではの難点はありましたか?

機能とFunQA、どちらを見てもMOBAジャンルは難しいゲームです。一番単純なところだと、プレイアブルキャラクターがあまりにも多いです。少なくとも40~50種類は備えた状態でリリースするのが普通で、キャラクターごとに少なくとも3~4つのスキルを持っているので、スキルごとに別途チェックも必要になります。また、P社が提供したアプリはさらに4つのマップがあり、それぞれ分析しなければなりませんでした。そしてゲーム内に装備機能があるMOBAは装備着用による数値変化もあり、例外事項があまりにも多いジャンルなので、さらに徹底してビルド分析を行う必要がありました。

キャラクターごとに数値を集めてエクセルデータにし、クライアントに要請してもらった財貨で装備を一つずつ制作してキャラクターに適用することで単純データを積んでいくプロセスの繰り返しでした。また、マニラと韓国テスターが協力して数多くの競争戦を進めました。単純に進めるだけでなく、テスター全員の実力の差を把握してチームを再調整したり、ゲームごとに遠距離・近距離アイテムの着用有無を調整しながらデータを積み増した。ありそうな戦略を立てて、それをシナリオにしてテストを行ったりもしました。こうして作られた単純データを数値化し、それを基に類似したジャンルの他のゲームと比較してレポートを作成しました。

4] 最後に、今回のテストで最も重要に思ったポイントは何でしょうか?

コミュニケーションです。グローバルサービスを想定して制作しているゲームだったので、韓国のテスターとマニラのテスターの間のコミュニケーションが最も大事なポイントだったんです。機能QAのTCも先に韓国語で制作してからTCとアプリを見比べながらマニラ側と補完する作業を進めました。英語ビルド・韓国語ビルドいずれもテストが必要だったので、Googleスプレッドシートを利用して作業進捗状況をリアルタイムで見ながら用語やテキストを統一していきました。このような取り組みで発生したバグをまとめ、機能QAの時作られたコミュニケーション手段を利用してFunQAの進捗状況も共有しながら進めることができました。ゲームごとに意見を調整し、単純データの記録も両側でリアルタイムで行って結果を作っていきました。

言語、MOBAジャンルゲームという難点はありましたが、マニラ支社の協力によって結果的に満足できる機能QA、FunQAにすることができたと思います。