1. お客様に寄り添ったサービスを提供しましょう。
皆様は、利用中のゲームに関してカスタマーセンターに問い合わせた経験はありますか? 私はゲームに関わる仕事をする前からも長年様々なゲームをプレイしつつ、様々なタイプの問い合わせメールを送った経験があります。問い合わせを送った後は、返答が届いていないか何度も確認していました。そして、問題を「自分事」と捉えてくれるようなオペレーターに信頼を感じていました。
オペレーターの仕事は、単純にお問い合わせへの回答を作成し送信するだけではありません。お問い合わせをしたユーザーがオペレーターを信頼できるようなコミュニケーションが必要です。そこではじめてお客様はオペレーターの返答を受け入れることができるのです。直接対面して話せるなら表情や言葉遣い、ジェスチャーなどで信頼度を高めることができますが、ゲームに関する問い合わせとその返答はほとんど文面で行われます。
そのため、私はお問い合わせに返信する際、必ず冒頭に「お問い合わせいただいた◯◯に関しまして、こちらで詳細に内容を確認させていただきました」、そして最後には「他にもご質問などがありましたら、いつでもカスタマーセンターまでお問い合わせください」というフレーズを加えています。今回のお問い合わせ内容をきっちり確認したことをお客様に伝え、返答によって問題が解決したとしても新しい問題が発生した場合はいつでもお答えします、という姿勢です。
オペレーターはこのようにお客様の忠実なサポーターになることが大事です。必ずポジティブな返答をしたり、お客様が望む解決方法を提示することはできないとしても、次に何かあった場合はお客様の目線でお手伝いさせていただくという意思を表明するのが望ましいでしょう。これはお客様に遠慮なくカスタマーセンターを利用していただくためです。ゲームを利用していて問題が発生したのに問い合わせる気にもならないようであれば、そのゲームを長く楽しめるわけもありません。
2. お客様の問題を解決できない場合
ゲームサービスを提供する立場で最も残念なことは、お客様の問題を解決して差し上げられない時です。場合によっては、返答を作成するオペレーター本人もその返答内容が理不尽だと思ったり、納得いかない時もあると思います。オペレーターも仕事が終われば一人の顧客、ユーザーの気持ちは誰よりもよく理解しています。しかし、すぐには明快な答えを出せない問い合わせだったり、解決が不可能な場合はオペレーターも申し訳なさを感じてしまいます。だからといって返答をしないわけにも行きません。このような場合、お問い合わせのタイプによって「ご報告いただいた不具合の件に関しましては、こちらで確認の上担当部署に伝えさせていただきました。ただし、修正には多少お時間をいただくことになりますので、ご了承ください」または「こちらの件に関しまして、担当部署にて事象を確認いたしました。ただいま修正に注力しておりますが、対応に時間がかかっており大変申し訳ございません」など、現在の状況を十分に説明した上で待たせていることを謝罪しましょう。
上記の例はゲーム内の不具合に関する返答でしたが、1)現在の状況を十分に説明する、2)気持ちを込めた謝罪の言葉を加える、この二つを適用すれば、異なるタイプの問い合わせにも対応できます。例えば、「何度も意見を送ったのに、どうして修正しないんですか?」のような問い合わせには、「いつもゲームを応援していただき、ありがとうございます。送っていただいた◯◯へのご意見ですが、ただいま開発チーム内で検討を行っております。ただし、お客様のご意見はゲームバランスに重大な影響を及ぼす類のため、様々な角度からテストを行った後に適用の可能性を判断する必要があります。テストや検討の結果次第ではご意見が反映されない場合もございますが、何卒ご了承ください。返答をお待たせしてしまい、大変申し訳ございません」という返答も可能です。
3. 言葉よりも、目に見せましょう。
簡単に言うと、「さらにやさしく」です。
「設定からコードを入力してください」よりは「メイン画面右上の歯車アイコン > ユーザー情報 > コード入力からコードをを入力してください」のように、実際に目で見ているように説明しましょう。スクリーンショットを添付できるシステムであれば、活用するのも良いでしょう。ただし、スクリーンショットは社内規定により添付できない場合があったり、添付できても個人のアカウント情報が表示されていないか、ユーザーに見られてはいけない情報が含まれていないかなど、様々な検討が必要になります。このプロセスで失敗があると大きな問題になり得るので、できる限りやさしく、お手本を見せるつもりで説明してください。
4. お客様を味方にしましょう。
お問い合わせを送ったお客様に、徒労感を与えないよう気を付けましょう。どれだけ些細な意見や不具合報告でも、お客様にゲーム会社の味方になりたい気持ちを持たせるような回答を心がけてください。ゲームとユーザーは互いになくてはならない関係です。ゲームがなければユーザーという概念は存在せず、ユーザーがいなければゲームは無意味なものになります。そのため、ユーザーとは友好的な関係を保つことが大事です。大事な時間を割いていただいたおかげでゲームが改善された旨の内容で返答すれば、ユーザー側も自分の問い合わせに意味があったと考え、今後も積極的に意見を出したり、遠慮なく問い合わせることができるでしょう。
5. お客様に共感しましょう。
お客様がお問い合わせをするのは、何か問題を抱えていたり、ゲーム会社に伝えたいことがあるからです。お客様の気持ち、そして問題に共感を示しましょう。あなたが経験した不便は十分理解できる、私もゲームを楽しむゲーマーとしてあなたの話がちゃんと理解できているということをアピールしてください。お客様はよく、担当者はゲームに対する理解度が低く、自分の話を聞いてもらえないと考えることが多いです。そんなことはない、とアピールするには、「あなたがどういう問題を経験しているか理解しているが、理由があってこのような結果しか出せなかった」ということを十分に説明してください。そうすればお客様も理解してくれるはずです。