最近、Z世代に大人気のバーチャルキャラクターがさまざまなコンテンツ分野に進出しています。バーチャルアイドル、Vチューバーという新たなコンテンツジャンルが誕生しました。Vチューバーコンテンツを作成する日本のANYCOLORは、設立から4年で上場し、2019年との対比で2022年の年間売上が約60倍以上に増加する急成長を遂げています。バーチャルアイドルやVチューバーコンテンツがどのように収益を創出しているのか、ローカライズ専門企業ラティスグローバルと一緒に見ていきましょう。

(出典:東証GRT ANYCOLOR(株))

バーチャルアイドル(virtual idol)とは、普遍的に2Dの世界にいたキャラクターを3Dで具現化し、現実のアイドルのように歌や舞台活動をする仮想のキャラクターのことです。スタイルによっては、人とほぼ同じように造形されたバーチャルヒューマンもいます。

Vチューバーは、virtual + youtuber/streamer/liverの合成語で、YouTubeやライブ配信の主人公としてコンテンツを生産し、アカウントを運営したりもします。

ヴァーチャルアイドル(virtual idol)の発展

アメリカの音楽プロデューサーのドン・カーシュナー(Don Kirshner)は、1969年に企画した仮想バンド「アーチーズ(The Archies)」で仮想キャラクターの可能性を初めて世に示しました。アーチーズのメンバーは実在の人物をモデルにしていない、新たに創り出したアニメキャラクターでした。シングル曲『sugar, sugar』は世界的な大ヒットを記録しました。テレビにはアニメ形式で登場し、実際のライブでは実在の人物がそれぞれのパートを担当しました。

(出典:1969年 Band ‘The Archies’ sugar sugar album design)

1996年に日本の芸能プロダクションのホリプロは、初めて3D CGで「伊達杏子 DK-96」という仮想アイドルを制作しました。伊達杏子の声と音楽は、実在の人物によって吹き替えられ、同時に巨額が投資されましたが、大きな成功を収めることはできませんでした。

その後、2007年にバーチャルアイドルの代表とも言える「初音ミク」が、キャラクターイメージから音楽まですべてソフトウェアによって造作されました。当初、初音ミクはサウンドソフトウェアの名称で、ヤマハのソフトウェア(VOCALOID)を基盤に人の声のデータを拡張して作られた製品でした。ユーザーが増え、ヒット曲も多く誕生したことから、アイドルとして正式アルバムを発表するに至りました。毎年ホログラムコンサートを開き、今でも世界中のファンから愛される人気アイドルとして活動しています。

2018年には、ライオットゲームズの『リーグ・オブ・レジェンド』のチャンピオン、アーリ、イブリン、カイ=サ、アカリの4人で結成された仮想のガールズグループ、K/DAがデビューしました。それぞれのメンバーには、モーションキャプチャーされた実在の人物の動きが適用されています。K/DAは仮想のアイドルですが、その人気は実在のアイドルに迫る勢いで、公式YouTubeチャンネルの再生回数は5億回を超えています。K/DAは『リーグ・オブ・レジェンド』の広報効果も如実に示しており、仮想アイドルの価値をますます高めています。

Vチューバー(vtuber)の言語的制限

バーチャルYouTuberは、2016年に日本のインターネット放送から始まりました。モニターで現実の人間ではない2D、3Dキャラクターが動き出したのです。それらは確実な市場のニーズを立証していき、2019年からはホロライブのときのそら(カバー)やにじさんじ(ANYCOLOR)など、企業の投資で多様なVチューバーが登場し、バーチャルキャラクターのコンテンツ競争が拡散しています。

2022年末基準で再生回数TOP10のVチューバーは、日本6人、韓国2人、アメリカ、ドイツが各1人となっています。日本のVチューバーはYouTubeで主導的な役割を果たしていますが、Twitchの人気Vチューバーはほとんどが韓国で誕生しています。

(出典:データ統計サイト Streams Charts)

Vチューバーは、先に言及したバーチャルアイドルのように歌や踊りの映像コンテンツもありますが、既存のキャラクターとの一番大きな違いは、登録者との相互交流にあります。TOP10チャンネルの統計を見ると、人気が高いVチューバーは登録者とコミュニケーションをとる時間が全放送時間の10%以上を占めています。Vチューバーのイメージと音声は、ソフトウェアで編集することができますが、既存のYouTuberと同じように言語的・文化的制限が多いコンテンツでもあります。現在、ほとんどのVチューバーは実在の人物の声でリアルタイム放送をしています。グローバル市場で人気が高いVチューバーは、基本的に2つ以上の言語を駆使しています。

中国のゲーム開発会社HoYoverseは、2022年6月に自社開発したバーチャルキャラクター『ルミ(Lumi)』の29分のライブ映像を公開しました。ルミは、実在の人の吹き替えで放送するVチューバーとは異なり、AIシステムでネチズンとリアルタイムで交流するAIキャラクターです。HoYoverseはルミを発表することにより、Vチューバーの未来は人工知能を活用したAIキャラクターであることを提示しました。

(出典: Youtube Chanel – Pekora Ch. 兎田ぺこら)

ローカライズの需要

このように、現在のVチューバーは実在の人が吹き替えをしていることから、文化的価値感や言語能力によってコンテンツを楽しめる視聴者のタイプや範囲が制限されている状況です。このような言語的、文化的制限を克服するには、ローカライズの必要があります。日本ではVチューバー市場の競争が熾烈になり、多言語翻訳や吹き替えを提供するチャンネルが徐々に増加しつつあります。バーチャルキャラクターは、特定地域に限定されないグローバル市場で活動できるポテンシャルを持っています。グローバルコンテンツの消費は今後、選択ではなく未来のトレンドになるでしょう。

ラティスグローバルは、数多くのゲームキャラクターをグローバル市場に進出させるために多言語ローカライズ、吹き替え、翻訳クオリティテストなどの専門サービスを提供する、多様なコンテンツ産業のパートナーです。

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