YouTubeで「PLAY-TO-EARN – NFT Gaming in the Philippines」というドキュメンタリーが公開され、多くの人が興味を示しました。このドキュメンタリーは、COVID-19で失業率が25.8%に達したフィリピンの人たちが「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」というゲームを知り、このゲームでお金を稼げるという噂が広まって75歳の年寄りまでこのゲームをプレイしながらお金を稼ぎはじめるという内容です。本日はゲームの新しい未来として注目されているNFTゲーム、P2E、ブロックチェーンについて見ていきましょう。
ブロックチェーンとゲームに対する理解
ブロックチェーン(Blockchain)とはデータ分散処理技術で、ネットワークに参加するすべてのユーザーが取引履歴や各種データを分散して保存する技術を意味します。すべての資産は有形・無形資産に分かれ、価値を持つ要素のほとんどをブロックチェーンネットワークを通して追跡し、取引できます。取引のリスクやコストを減らすことにメリットがある技術です。
ブロックチェーン技術を活用している最も代表的な例はビットコインで、非代替性トークン(Non-Fungible Token)が適用された仮想通貨システムを導入することで、ゲーム内キャラクターやアイテムを仮想通貨で取引し、実際のお金に換金できるNFTゲームもブロックチェーン技術を活用している例に該当します。このようにプレイしながら収益を創出できるNFTゲームをP2E(Play to Earn)ゲームとも言います。
NFTの市場規模
マーケットアンドマーケット(Markets and Markets)が発表した「2027年までのNFT市場展望レポート(Non-Fungible Tokens Market – Global forecast to 2027)」によると、NFTのグローバル市場規模は2022年の30億ドルから2027年には136億ドルまで増加し、年間35%の成長率を記録すると予想されます。
また、NFT技術が適用されたビデオゲームを通じたメタバースの構築は、NFT市場をさらに拡大・成長させる方法になると思われています。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)が連携されたクロスリアリティー(XR)技術を活用し、仮想世界で様々なインタラクトができるメタバースがブロックチェーンと融合して多くの技術が適用されることで、NFTを活用した多種の収益モデルが登場すると予想されるためです。
ビデオゲームの歴史を見ると、ブロックチェーン技術と融合する前にもデジタルアイテムの取引で収益を創出するケースはよくありました。2003年からサービスされていた「エントロピアユニバース(Entropia Universe)」は、ゲーム内通貨のPED(Project Entropia Dollars)を10:1の割合でアメリカドルで換金できるSF MMORPGです。世界で最も高いデジタルアイテムの順位には、このゲームのアイテムが常に上位に入っています。デジタルアイテムの実際の価値は、株式と同じように市場供給と需要によって変わるので、非中央集権でさらに公正で透明な収益分配が行われる可能性があるNFTゲームは、自然に多くのユーザーの興味を引くことになります。
NFTゲームの成功例
NFT技術基盤の最も代表的なP2Eゲームは、ベトナムのスカイマビス(Sky Mavis)社がローンチした「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」です。このゲームはパンデミック時代のおかげで月間平均ユーザー数が2万人から280万人まで急増し、驚異的な成長を遂げました。ダップレーダー(Dappradar)の統計によると、アクシー・インフィニティの日別ユーザー数は2021年第4四半期に約10万5,000人程度で、これは第3四半期と比べて59%、第2四半期に比べて1,422%増加した数値でした。また、アクシー・インフィニティは下半期に12億ドル以上の売上(Token Terminalデータ基準)を記録しました。
アクシー・インフィニティの基本的なプレイ方法は「アクシー」というキャラクターを購入して育成し、交配で新しいアクシーを作り出し、PVPやPVEコンテンツ、デイリーミッションを進行してSLPコインを集めることです。ゲームを始めるには少なくとも3体のアクシーを所持する必要がありますが、開発会社から購入するのではなく、他のプレイヤーがマーケットに出したアクシーを暗号通貨で購入しなければならないという特徴があります。すでにゲームをプレイしていたユーザーに、ゲームの入場券を販売できる権利を与えるのです。つまり、一定金額を投資しないとゲームを始めることができず、市場価格によってゲーム開始に必要な金額も変わります。また、アクシーの交配や繁殖回数は7回までの制限があり、交配回数によって交配に必要なアイテムの「Smooth Love Potion」の必要数もどんどん増えます。
「アクシー・インフィニティ」で使用するAXSトークンは、実際のコイン市場で取引されており、ゲームから獲得した財貨をすぐに現金化することができます。今までこのゲームで最も高い金額で取引されたアイテムは300イーサリウムで、当時の現金価値では約52万ドルに相当する金額でした。
ブロックチェーンゲームが禁止されている中、急増する韓国ゲーム会社の海外進出
2017年から複数の韓国ゲーム開発会社はNFTゲーム開発に力を入れており、ネットマーブル・NCSOFT・カムツス・ゲームヴィルなどの大型・中堅など規模を問わずブロックチェーン技術確保や関連ゲーム開発に拍車をかけています。WEMADEは、すでにブロックチェーン技術を適用した「MIR4」のグローバルバージョンをリリースして大きな成果を上げました。韓国でリリースされた「MIR4」には仮想通貨に関わるシステムがありませんが、海外バージョンにはコインでアイテムを取引できるNFTシステムが実装されています。プレイヤーはゲーム内アイテムの「黒鉄」を採掘でき、黒鉄10万個を集めると「ドレイコ(Draco)」というコインに交換できます。「MIR4」リリース後、WEMADEの株価は約620%成長し、会社の価値は約39億ドル程度に推定されます。
韓国ゲーム市場の規模は世界4位ですが、NFTゲームは現在韓国内で違法なのでサービスされていません。韓国では現行法案の「ゲーム産業振興に関する法律」第32条第1項7号によってゲームのギャンブル性に関する規定や規制が行われているためです。
[ゲーム産業振興に関する法律第32条]
第32条(違法ゲーム物などの流通禁止など)①誰でもゲーム物の流通秩序を阻害する以下の各号の行為をしてはならない。
7. 誰でもゲーム物を利用することで獲得した有形・無形の結果物(点数・景品・ゲーム内で使用される仮想の通貨として、大統領令が定めるゲームマネーおよび大統領令が定めるそれに類似するものを言う)を換金または換金の斡旋、再買取を業務とする行為
ゲーム物管理委員会は、ギャンブル性や中毒性に関する恐れを理由としてブロックチェーンやNFT技術を採用したゲームのレーティングを拒否しました。しかし、現金で換金できる財貨を提供するNFTゲームは、ゲーム業界の新たなビジネスモデルとして注目されており、韓国のゲーム開発会社は海外市場を対象とするNFTゲームの開発やリリースに集中しているので、こういった流れは今後も続く見込みです。
Latis Globalは、フィリピン支社を経由して海外市場に進出するゲーム開発会社やパブリッシャーに最適化したローカライズ、サウンド関連作業、QA、運営などのゲームに関する専門的なサービスを提供しています。ご質問などがありましたら、いつでもcontact@latisglobal.comまでお問い合わせください。