サウンドに対するゲーマーたちの高まる要望

ゲームサウンドは、ハードウェアと共に発展してきました。創世記には、ハードウェアの制約により、単純な旋律で構成されたサウンドの再生にすら困難をきたしていたのです。

 (資料提供:創造工作所)

1970-1980年代に爆発的な人気を博したアタリの『ポン』。この時のゲームサウンドはビープ音で構成された単一効果音のみでした。

1980-1990年代にはFMチップとPCMサウンドハードウェアの発展により多重化した音の具現が可能になり、同時にハードウェア価格の低下も相まってゲーム機が広く普及していきました。

2000年以降、ステレオ、5.1chといったマルチチャンネルの普及により、前後左右から聴こえるサウンドエフェクトの表現が可能になりました。これにより、キャラクターの方向や位置関係をゲーム内で具現できるようになり、サウンドの空間性までが再現された世界でゲームへの没入感を高めることに成功しました。

(ヘッドトラッキング技術の具現 – 出典: AUDEZE HRTF セッティング画面)

このようなプロセス経て、容量、長さ、形式のゲームサウンドに対するハードルが過去に比べて画期的に下がりました。現在はPC、コンソール、モバイル、VRなど、ゲームのプレイ環境が多様に拡大しており、それに伴ってハードウェアやソフトウェアも発展してきています。

同時に、ユーザーたちのサウンドに対するニーズも多角化しており、ゲーム内のオーディオセッティングに多くの変化がもたらされました。かつてのゲーム内サウンドに関する環境設定は、効果音、BGM、全体のボリュームのコントロール程度でしたが、最近ではオーディオセッティングの設定値が細分化される傾向があります。『World of Warships』のオーディオセッティングを見ると、約25個のオーディオセッティングを提供しており、音楽、音声はもちろん、環境音、戦艦のエンジン音、爆発音の音量まで個別にカスタマイズできるようになっています。そして、『コール オブ デューティ』のミッドナイトモードは、深夜の時間帯には爆発音のような大音量は超低音と超高音を低減する設定になっています。

(出典:ゲーム『World of Warships』オーディオセッティング画面)
(出典:ゲーム『コール オブ デューティ』ミッドナイトモード)

ゲームサウンド制作の方式

伝統的な効果音の制作方式の一つに、プーリー録音があります。かつて車両エンジンの効果音を録音するには、実際に車を運転して録音ブースに入り、多数のマイクでエンジン音を録音していました。リアルなサウンドを制作するために、多くの人的・物的リソースが投入されていたのです。

このような点を克服するために、サウンドライブラリが販売され始め、ゲームサウンドデザインにも多く適用されるようになりました。しかし、サウンドライブラリのファイル形式は、WAV、MP3のため、ギア変速、アクセル、ブレーキの反応など、きめ細やかな作業には不向きで、適切な表現を提供するには限界がありました。

(サウンドライブラリ – 出典:Pole Position Production)

その後、車種、速度、ギア変速、ブレーキなどの反応をリアルタイムで手軽に調整可能なプラグインとミドルウェアが開発されたため、サウンドデザイナーがコーディングを知らなくてもゲーム内で具現したいサウンドを制作できるようになりました。人気ゲーム『オーバーウォッチ(OVERWATCH)』、『エルデンリング(ELDEN RING)』、『ヘイロー(HALO)』のサウンドも、ミドルウェアを活用して制作されました。

オーバーウォッチ効果音映像

ゲーム音楽も、これまでに多くの発展を遂げてきました。かつては8bit音楽のように周波数の変化で楽器の音を真似るような形で音楽を作っていましたが、現在は本物の楽器でサンプリングし、仮想楽器で作ったプラグインがものすごいスピードで発展しています。

仮想楽器 Hans Florian Zimmer Stringsは、『インセプション』、『インターステラー』、『ダークナイト』などの音楽監督として名を馳せたハンス・ジマー(Hans Florian Zimmer)が参加し、総勢344人の奏者と26個のマイクでシネマティックオーケストラをサンプリングした仮想楽器プログラムです。このような仮想楽器でゲーム音楽を制作した場合、サウンドデザイナーの力量によって実際の演奏よりもさらに創意的なサウンドを作り出すこともできるようになりました。

(出典:YOUTUBER CHANNEL – WALKTHROUGH: HANS ZIMMER STRINGS)

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