ゲーム市場が大きく成長するとともに、かつて映画・ドラマ・アニメなどがメインだった韓国語音声収録市場でゲームの音声収録はどんどん専門化・細分化し、その存在感が大きくなりつつあります。最近はゲームやOTTコンテンツの海外輸出が行われ、音声吹き替えによるローカライズの重要性がいつにも増して大きくなっています。

声優ファン向けマーケティング

このような変化によって声優個人のファン集団とその影響力が大きくなり、ゲームの重要なマーケティング要素として活用され、ゲームサービスの成功に繋がったケースも増えました。

デヴシスターズの「クッキーラン:キングダム」は日本市場を攻略するために声優マーケティングに力を入れ、日本のアニメ「ナルト」のうずまきナルト役として有名な「竹内順子」を含めた豪華声優陣を構成して日本語音声収録を進め、ゲームの人気に大きく寄与しました。「クッキーラン:キングダム」は現在ドイツ語、中国語、タイ語、フランス語音声まで実装し、音声ローカライズをマーケティング要素として活用した代表的なゲームの1つになりました。

(出典:デヴシスターズ – クッキーランキングダム)

海外市場進出に当たってゲーム音声収録を進める方法には、海外のスタジオに直接コンタクトして収録する方法、ローカライズエージェンシーと協業して外国人の声優をキャスティングして収録する方法、専門スタジオに依頼して海外の協力会社とオンラインで収録を進める方法の3つがあります。どんな方法を選択するかはゲーム開発会社とパブリッシャーの状況によって変わることがあります。本日はゲームに特化したサウンドサービスを提供しているLatis Globalが、多言語音声収録時のプロセスやそれに対する注意事項について説明させていただきます。

(出典:L.A. photographer Michael Buckner | PMC)

1) 世界で最も大きいゲーム市場、アメリカでの声優によるゲーム音声収録

アメリカの声優ランクは、大きくユニオンタレントとノンユニオンタレントに分かれています。

(アメリカ協会ユニオンタレント団体SAG-AFTRA LOGO 出典:ホームページ)

まず、ユニオンタレント団体の「SAG-AFTRA」は、およそ16万人の声優・俳優・言論人・歌手・インフルエンサー・モデルなどのプロが所属しているアメリカの労働組合です。大体の有名声優はSAG-AFTRAに登録されています。

SAG-AFTRA所属声優の平均キャスティング費用は約800~1,000ドル前後であり、これは通常3人のキャラクターを演技することを基準に策定された費用です。収録分量や演技するキャラクター数によって追加費用が発生することがあります。収録した音声の権利に関しては、一般的に1つのタイトルに限って使用できることが原則になっています。

(出典:Theater Echo Japan)

2) アジア一のゲーム市場、日本の声優音声収録

日本の声優は芸能人のように事務所に所属し、専門マネージャーが日程を管理しています。つまり日本の声優にオファーするには、声優マネージメント事務所と相談する必要があります。また、日本の声優は芸能人のように扱われ、有名な声優はキャスティング待ち期間が3ヶ月以上必要な場合もあるので、開発期間が短いと予算が足りていても希望する声優をキャスティングできない可能性がありますので、注意しなければなりません。

日本現地のスタジオを経由してオファーすると、主にそのスタジオと連携している声優事務所でキャスティングを担当するため、オファーできる声優の範囲が思ったより小さくなることもあります。それで、その事務所と接点のない他の事務所に所属する声優をキャスティングするためにフリーのプロデューサーを通してオファーする方法もあります。こういう場合は、そのプロデューサーの腕や人脈によって柔軟性を持って収録を進められる時もあります。

ライセンス料はPC・モバイル・コンソールなど、音声を使用するプラットフォームによって異なることがあり、その音声を使用するゲームサービスが行われる国によっても金額が異なることがあります。こういった部分は事前確認してから進めることをおすすめします。

(出典:イ・ヨンシンTV | Youtuber)

3) 急浮上しているアジア市場、韓国の声優音声収録

韓国では韓国声優協会に登録された声優がフリーの形で活動しており、音声収録スタジオの所属プロデューサーが収録を総括します。通常1時間単位で依頼し、一般的に1人の声優が4~5人のキャラクターを演技することができます。収録した音声の使用条件はアメリカと似ていて、1つのタイトルに限って使用することを原則として契約します。

また、韓国で多言語収録を行うこともあります。プロジェクトの規模に応じて英語の場合は通常30人前後の声優を投入することができ、日本語や中国語は約5~7人以内、その他の言語は3~4人以内なら韓国でも無理なく進めることができます。そのため、英語圏を除く他の言語圏では10人以上の声優が必要な場合、海外スタジオを利用して進めたほうが効率的です。

(出典:創造工作所提供)

リモート収録

音声収録専門スタジオに収録を依頼し、収録現場にリモート立会いもできます。コロナ時代以後、リモート立会いやディレクティングシステムは高速で発展してきました。Latis Globalが音声収録を担当したNetEaseのゲーム「NARAKA: BLADEPOINT」の韓国語音声収録は、リモート立会いシステムを導入し、海外の開発会社がオンラインで収録現場にリアルタイムで立ち会うことができました。スムーズなコミュニケーションでハイクオリティのローカライズや音声収録ができ、これは「NARAKA: BLADEPOINT」のローカライズ品質が大きく向上する結果に繋がりました。

オンラインを通した協業環境は大きく発展しましたが、時差などの現実的な問題が残っているため、現地スタジオと調整してリモート立会いがやりやすい時間に収録を進めるように計画すると、役に立ちます。収録を進める過程でソース言語・ターゲット言語ができる翻訳担当者と、ベテランのレコーディングディレクターが現地のエンジニアと緊密にコミュニケーションしながら、収録現場で発生しうるミスを最小化することが大事です。

Latis Globalは、様々なゲームタイトルの多言語音声収録やサウンド製作への経験を保有しており、海外の専門スタジオを緊密に協力しています。ゲームサウンド製作に関する質問がありましたら、いつでもお問い合わせください。

Email: contact@latisglobal.com | TEL: +82 -70-8270-8500 |